AIONに見るNCJの新経営戦略

久々の大作韓国製MMOということで、注目を集めていたAIONですが、NCJは今回ちょっとおもしろい集金戦略に出ています。
前提として

  • まともに機能しない(させる気がない)GMコール制度の廃止
  • 規約違反者=BOTチーターについては、客が主観で「通報」するシステムがあるだけ
  • AIONはほとんどすべてのモンスターが、何らかのクエストに絡んでいる
  • 基本は月100時間1800円、300時間3000円の期限つき従量制。時間制限のない契約は3ヶ月まとめ払いしかない

BOTとは、簡単なマクロ動作を行うだけのクライアントイミュレータや、自動キー入力装置ですから、そう広い範囲で「狩り」を行うことはできません。したがって、一つのエリアで、おなじモンスターを延々と狩るのが普通です。
他のゲームであれば、邪魔であっても、他のエリアに行けば良く、BOT側もそれを見越してか、いわゆる「過疎狩り場」に放置する傾向がありました。

しかし、AIONは、すべてのモンスターに何らかのクエストが設定されているため、すべてのレベル帯で、常に誰かが、BOTが迷惑でクエストが進まないと言う不満をかき立てられる設計となっています。クエスト自体も「おいしい」ものが多いため、客は盛大に「通報」を行います。
一方、BOTというものは、長時間動かさないと、意味のないものなので、BOTを放つゴールドファーマーたちは、従量契約よりも有利な、3ヶ月契約を結ぶ可能性が高い訳です。

要するに、GMというような無駄な人件費を省いた上で、3ヶ月課金をしてきたファーマーのアカウントを、これまたお金を払っているお客様の労力を使うことで、どんどんBANできるシステムが、このAIONのメイン設計となっているようです。
BOTやファーマーは、契約規約違反であるのはもちろんのこと、MMMORPGでは親の敵のように嫌われる存在であるため、いくらいじめても、対外的には問題が無く、また、いくらBANしてもまたやってくるのは、過去のゲームで明らか、ということで、金を搾り取る対象としては格好であるとの判断があったのかもしれません。
タワー オブ アイオン
毎週とんでもない数のアカウント凍結情報が公式サイトにあがっていますが、おおむね、このシステムはうまく稼働しているようです。ファーマーも懲りずにどんどんBOTを投入しています。
しかも、儲かる上に、一般客には「真剣な取り組みをしている」というアピールになるというおまけ付きですから、なかなかうまいことを考えたものです。